119.「誦句集 修道大悟の誦句」
「そもさん 吾等かりそめにも天地の因縁に恵まれ(て) 万物の霊長たる人間と(してこの大宇宙の中に)生れし以上 先づ第一に知らねばならぬことは 人生に絡まる(り存在する)幽玄微妙なる宇宙真理なり。
まこと(誠)や此(この)自覚を正しく厳かになし得なば 敢て求めずとてもその身を健やかに その運命を和やかにするを得ん。これぞ正に千古昭(せんこしょう)として 耽存(じんぞん)する尊厳侵すべからざる人生の鉄則にして また神(かん)ながらに定められたる動かすべからざるの天理なり。
志(し)かも心より喜ばんかな 吾等今や正に雀躍する感激に咽(むせ)びつつ此(この)妙諦とその手段とを知れり。
あゝこの幸い この恵み! そも何をもつてかたとえん。
顧みれば 転々として人生の悶へ(え)と悩みに 苦しみしこと幾年月(!!)
いま(今)やわれ茲(ここ)に豁然(かつぜん)として 無明の迷いより覚め 自覚更生の大道に入るの関門に立ち 心眼既に開けて行手に栄光燎乱たる人生を望み得し今日 吾が心はただひたすらにい(言)い能わざるの 限りなき欣びに勇みたつ。
然(しか)り 世の人々のすべてのすべて よしや富貴栄達名門名誉の人と雖(いえど)も 所詮(しょせん)味わい得ぬ この欣びと この感激!まこと(誠) 恵まれたる吾よと思えば などか この尊き因縁を とこしえに忘れ能うべき。
されば 堅く 我と吾が心に この欣びと この幸いとを根強く植えつけて 一意専心 黽勉努力(びんべんどりょく) 実践躬行(じっせんきゅうこう) 再(ふたた)び人生無自覚の過ちを繰り返さざらんがために 厳かに反省の鞭を手にし ひたむきに向上の一路へと颯爽と邁進し 吾等の住むこの世界に 誠と 愛と 平和に活きんとする人の数を多からしむるべく 吾先(ま)ず その模範の人とならんことを 自から 自からの心に 厳として誓わん。」
とうとう最後になりました。
この誦句は、天風先生が修練会の最後に使われるものです。
この内容は、以下のように「叡知のひびき・箴言27」にも書かれています。「他人に干渉しないで、さし当たって自己をよりもっと高く、よりもっと尊く改造することに専念すること」が大切です。
「人の世のためにつくすというのは私心なく誠心誠意人々の協同幸福のために努力することである。
私心=自己本位の心で諸事万事に対応すると、人の世のために尽くすという、尊い行為を完成するのに何よりも必枢(必ず要る)な心的条件である誠心誠意というものが、とうてい、その心の中から発露してこない。
人々の共同幸福のために努力しようとするのには、崇高な克己心というもの、すなわち自己に克つ心が、これまた何よりも必要である。
お互い人間の心が、自分以外の他の人々の幸福を望む気持ちで、一つに結ばれない限り、広い意味における、人々の共同幸福は望んでも現実化されないのである。
手っ取り早く言えば、何よりもまず、他人に干渉しないで、さし当たって自己をよりもっと高く、よりもっと尊く改造することに専念することである。
ひたむきに人の世のために尽くさんと思う心に光あるなり」(叡知のひびき・箴言27 より)