158.「十牛図 第十 入鄽垂手(にってんすいしゅ):布袋図 十牛図頌」
「露胸跣(はだし)足入鄽来 抹土塗灰笑満顋(あぎと) 不用神仙真秘訣 直教枯木花放開 禄十牛図解入鄽垂手 天風併題」
天風先生は、「盛大なる人生 第五章 大事貫徹」で以下のように説明されています。霊性生活の実行の大切さを教えてくれています。
「第十図は、心身統一法の教えで言わないと何がなんだかちっともわからないだろう。心身統一法で言うと、霊性生活の実行、言いかえると、常に誠と愛でひたすらに、人の世のためになることを言ったり、行って、実際に人生を生きている人の姿だとこう言っていい。終始一貫、人間としての正しい境涯を生きていく人のことを布袋(ほてい)と言うと思えばいい。」(盛大なる人生 第五章 大事貫徹 より)
・以下、webより
読み下し「胸を露(あら)わし足を跣(はだし)にして廛(てん)に入り来る、土を抹って灰に塗(まみ)れ、笑い顋(あぎと)に満つ、神仙真秘の訣を用いず、直に枯木にして花を放って開かしむ」
顋(あぎと):「頁(あたま)+音符思(細かい、細い)」。あごの先の細い所。「あごの先端」にまで…表面的な「笑い」ではなく、心底からの「笑い」が起きていることでしょう。それは、「あごの先端」部分にまで及ぶような、深い深い「笑い」なのでしょうね。
訣(ケツ):きっぱりとひと言でいいきった秘伝。技術などのいちばん大事なところ・方法。
布袋和尚は胸をさらけだし足は裸足のままで、ひょうひょうと市街にやってきた。鄽とは俗世の町中のこと。利他のために「灰頭土面」、泥まみれほこりまみれになってでも、ためらうことなく自発的な動きとして現れる行為は将に菩薩行そのものである。入鄽垂手の境地に至れば己のなせる日常の行為は図らずも枯れ木に花を咲かせるように衆生救済はおのずから行われていくに違いない。