228.「十牛訓_第八図 人牛俱忘 序 1964年 秋」
今回も、前回に続き 十牛訓の序です。 第八図 人牛俱忘です。
9.円相+言葉(百鳥啣花與誰居一塵翳天一芥 覆地月宿清潭風生空堂)「百鳥花を啣(ふく)み 與して誰とか居る 一塵天を翳(かざ)し、一芥地を覆(おお)う 月は清潭に宿り 風は空堂を生ず」を紹介しましたが、「百鳥花を含む」という同じ表現があることが分かりました。
Webより
百鳥:〘名〙 多くの鳥。いろいろの鳥。百千鳥(ももちどり)。
※雑談集(1305)八「百鳥花を啣(ふく)み瑞霊天に現す」 〔呉越春秋‐越王無余外伝〕
・以下、読み下し(webによる)
凡情脱落し、聖意皆な空ず。
有仏の処、遨遊(ごうゆう)することを用いず、無仏の処、急に須(すべから)く走過すべし。
両頭に著(お)らざれば、千眼も窺(うかが)い難し。
百鳥花を含むも、一場のモラ(もら)。
・意味
迷いの気持(凡情)が抜け落ちて、悟りの心もすっかりなくなった。
仏のいる世界に執着する必要もなく、仏のいない世界(煩悩の世界)にも足をとめずに走り抜けなければならない。
凡聖(両頭)のどちらにも腰をすえていないから、観音様の千眼さえ、この正体を見てとることはできないだろう。
多くの鳥が花を銜(くわ)えてきて供養することなど、顔が赤らむような場面だ。