6.静観是在動中大悟在忙中(静観是動中に在り 大悟忙中に在り)

 安定打坐考抄p33に「静観是在動中(動中の静)」が説明されています。

 古い諺に、「静観是在動中」(静観これ動中にあり=「動中の静」(注1)という。

 「安定打坐密法」は、「動中の静」という境涯に入ること。

 「煩悩即解脱(注2)」の大真理は、「動中の静」という大境地に立った自覚を基礎にしないと判らない。

 

⇒つまり、「安定打坐をして常に心の静けさを保つ境涯に入る。その境涯だと、煩悩を活用して解脱に転じることができる。」ということだと思います。

 

注1)「動中の静(どうちゅうのじょう)」:騒がしいところにいても、常に心の静けさを保ちましょう、という教えです。日常生活においては、周りにあわせてテンションを上げていかなくてはならない場合もあります。しかしどんな時でも、心に冷静さを保っていると、いざというときに良い判断を下すことができます。(webより)

 

注2)「煩悩即解脱(煩悩即菩提)」:煩悩即菩提の「即」とはそのまま転ずるということです。煩悩を、そのまま菩提に転じてしまうのが、煩悩即菩提です。これを教えられた歌に、昔から「渋柿の渋がそのまま甘みかな」という言葉があります。

 表面に白い粉をふいて甘い干し柿がありますが、あれは元から甘かったのではなく、渋柿を干してできたものです。

 渋柿は、少しかじっただけで、口が曲がるほどの渋みがありますが、渋柿の渋を抜いて、甘みを入れて干し柿にしたのではありません。

 渋柿の渋が甘みになったのです。ですから渋柿が渋ければ渋いほど、甘い干し柿ができます。

 ちなみにこれは、たとえで表しにくいところですが、煩悩がやがて悟りの縁となることではありません。「即」というのは、そのままということで、同時にあるのです。(webより)