「官能の啓発を学ぶ」木曜行修会 服部嘉夫 2019年2月14日
私達人間は外界に生きています。外界からの刺激を感受する時正しく認識しなければなりません。
何処で感受するかと言うと、受容器官である五官感覚即ち、視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚で行われています。その他、内蔵諸器官や筋肉等にもそれぞれ特異な感覚作用があり、必要に応じ神経系統を通じて心に伝えています。例えば、胃の空腹感、筋力や内蔵の痛感覚、その他各器官の苦痛感、不快感等です。
人間として、正しく活きるには、感覚器官を正確にはたらかせるための訓練が必要です。
(1)聴覚の訓練法
秒針の音がする置時計を利用して、聴覚の訓練を行います。秒針の音を耳から徐々に離して行き、完全に聞こえなくなる迄聞き入ります。何回も訓練しますと、聴覚は次第に鋭敏になります。天風先生は、インド修行中「天の声、地の声を聴け」と指導されました。ごうごうたる滝の側で瞑想している時、微かに小鳥のさえずりが聞えるようになったと申していました。
遂には蟻や地虫の這う音が聞えたと云われています。
禅では、線香の灰の落ちる音を聞けと云われています。
(2)触覚の訓練法
段階的に訓練して行きます。
最初は目隠しをして、他の者が用意した任意の品物を手探りで触れ、その品が何か当てる訓練です。
次に、黒の碁石10個の中に1~2個白石を混ぜておいて触覚で白石をあてる訓練です。
更には、色の色紙を目隠しで、触覚で何色かを当てる練習、麻雀牌を指先で当てる盲牌も触覚訓練になります。
(3)視覚の訓練法
訓練者を後を向かせ、其の前に品物を10ケ並べます。
用意が出来たら、「よしっ」と云って、訓練者を前に向け数秒間10ケの品物を見せ記憶させた後、後を向かせて、その品物を云わせます。天風会の無我一念法の訓練をしていると、潜在意識の中にプリントさせるので、当る確率は大いようです。
高齢者運転免許証の再交付の試験に「4つの品物を画いた一枚の用紙を数秒ごとに4枚見せ、他のテストを行った後で、その16の品物を書き上げる問題がありました。これはボケ防止の訓練にもなります。
天風会の「ひとりマッサージ」の眼球の運動に、眼玉を左右に動かす運動があります、左後方にどこまで視野出来るか。顔を動かさずに、眼で近くできる周辺視の範囲を調べます。周辺の気配を認知するためにも必要です。
天風先生は、よく展覧会に行かれ、気に入った絵画があるとその前で足を止め、数秒間ご覧になり、ご帰宅後、ご覧になった画を寸分違いない絵を描かれたと云われています。
心身統一法の講習会で精神使用法の時、心が事象(物)にとらわれのは悪い心の使い方で、逆に物(絵)が心に入ってくる状態が素晴らしい心の使い方で、即ち精神統一の状態です。
五官の内、味覚、臭覚は特別に訓練しなくても、常に有意注意力を行えば特別な修練をしなくても、感覚を維持することは出来ます。
五官感覚が研ぎ磨かれて、明瞭な意識で対象を明確に把握した時の心のはたらきを精神統一と云います。
精神統一されるとありのままの相が素直に心に映ります。
「心に塵を止めざれば、森羅万象自から見ゆ」と言われます。
精神が統一されると五官以外の第六感である超能力Telepthyが発現します。
天風先生は、「テレパシーは神秘的ではなく、人間誰しもが有する能力である」と申されます。
安定打坐法を修得し、訓練的開発訓練を行えばテレパシー能力が身に付いてきます。