木曜行修会 「いつでもどこでも クンバハカは役に立つ」
服部嘉夫 2019年6月27日
クンバハカは 天風教義の密法の一つです。密法とは隠れた秘密の法ではなく、「最も大切な方法」です。天風教義では神経反射調節法と云います。外界からの刺激、衝動ショックに対処するためある体勢を整え、神経叢を安定確保する方法です。その方法は(1)肛門を締め上げる。(2)両肩の力を脱いて下ろす。(3)下腹部に気力を充実させる。(4)その瞬間一時息を止める。ことです。最近の講師は「(1)(2)(3)を同時に行い、特に刺激が多い時は、息を止める」と教えますが、それは間違いです。突然の刺激は、刺激が大きいか、少ないか判らないままに身に掛かってきます。刺激があってから息を止めても遅いのです。普段「息を止める」ことを訓練していると、刺激があった瞬間、「いい尻癖が付いているので、身を守ることができるのです。クンバハカを訓練する時は、常に「尻・肩・肚」を一度に行い、一瞬息を止めることに心掛けましょう。
肛門を完全に腸の方向に締め上げている動作を行っていると、肛門は開いたままでなく、普段は意識をしなくても、肛門は70~80%締まっています。事が起った瞬間肛門が完全に締るのが0からでなく、早く締るので身を守ることが出来るのです。
日常生活に於いて、どんな時にクンバハカが役に立つ(効果)ことを申し上げます。
・精神的効果
(1)消極感情(怒・怖・悲)が安定し、穏やかな人になれます。
ささいな事で「怒らず、怖れず、悲しまず」が出来るようになれます。夫婦喧嘩は売り言葉と買い言葉の応酬ですので、遣り取りの瞬間クンバハカで2~3分時間を空けると馬鹿馬鹿しい事に気づきます。
(2)心が穏やかになるので、対人的には同化力が増大します。人間的魅力の持ち主になれます。
(3)胆力が旺盛になり、度胸がつく。上司と対話しても上擦らなくなります。
(4)自律神経が安定確保されるので、意識明瞭になります。有意注意力がでます。階段を下る時クンバハカをすると、踏み外すことがなくなり、特に階段の最後の2、3段の時クンバハカが大切です。
・肉体的効果
(1)朝起きて、窓を開き外気(精気)を取り入れ、プラナヤマ法を行う時、クンバハカ体勢を確実に行います。
(2)クンバハカを行っていると血液の循環がスムースになり血色が良くなります。「顔色常に嬰児の如し」血圧も正常化されます。
(3)クンバハカの応用である養動法を行うと、下痢や便秘を防ぐことができます。特に便通が順調になります。
(4)自然治癒力(自然良能作用)が増大しますから病や怪我の回復が早くなります。
(5)新陳代謝が活発になり疲労を感じなくなります。いつも疲れを知らない元気者になれます。
(6)体力が充実し身体が活性化されますから強健な身体になれます。
(7)その他 地震、雷、交通事故が起った時、高い処に登った時やビルの外側のガラスを拭く場合、又人前でスピーチや演奏、演技をする時、入学、入社試験の面接を行う場合にクンバハカを行うと落ち着くことが出来ます。
(8)天風教義のアサナ法はいかなる体勢をとっても、クンバハカ状態が維持される訓練法です。