木曜行修会 「創造と破壊」 服部嘉夫 2019年11月28日
一見映画のタイトルのように思われますが、天風会的に解釈すると、私は「結合と分解」と思います。
宇宙霊は一切の現象の背後にあって、新陳代謝の手段をもって一切の現象を支配する二つの作用があります。
その一つは、一つのものを造り上げてゆく、結合と建設のはたらきです。二つは元のエネルギに戻す分解と還元のはたらきです。
例えて云うと、柿の木は春が来ると芽を出して葉が出ます。葉では根から吸い上げた水H2Oと大気中の二酸化炭素CO2と太陽エネルギーで光合成が行われ含水炭素と糖質を作ります。花が咲き雌蕊と雄蕊が触れ合い受粉し、秋になると柿の実が実ります。これを結合と建設のはたらきと云います。晩秋になると葉は錦に輝き、栄養分は枝に返して、葉は枯れて土に落ちます。落ちた葉は腐りH2OとCO2に分解されます。成長・開花・結実は結合と建設のはたらきであり、葉が落ち腐って、元の要素に分解・還元されるわけです。
この二つの作用は相反し、矛盾しているように見えますが、双方が相俟って、協力し合って柿の木は年々大きく成長してゆきます。
仏教では、結合と建設のはたらきを生のはたらきと云い、その逆の分解と還元のはたらきを滅のはたらきと云います。
人間で云うと、男女が年頃になると愛が目覚めて、結婚し、精子と卵子が結合して、細胞分裂が行われ、10月10日経ち、1ケ細胞から2兆個の細胞になり、赤ちゃんが誕生します。これを生のはたらきと云います。少年から幼年、青年、壮年になり80才~90才で老化し、時がくると死亡し、肉体は還元して大霊に帰するわけです。これが滅のはたらきです。このように生滅の二つの作用が相俟って、万物の一切は、公平により良く進化、向上が現実化されてゆくのです。