226.「十牛訓_第六図 騎牛 序 1964年 夏」
今回も、前回に続き 十牛訓の序です。 第六図 騎牛です。
・以下、読み下し(webと註(2枚目)による)
干戈(かんか)已(すで)に罷(や)み、得失還(ま)た空ず。
樵子(しょうし)の村歌を唱い(え)、児童の野曲を吹く。
身を牛上に横(た)え、目は雲霄(うんしょう)を視る。
呼喚(こかん)すれども回(かえ)らず、
撈籠(ろうろう)すれども、止(住)(とど)まらず。
雲霄(うんしょう):雲のある空。
呼喚(こかん):声を出して呼ぶこと。
・意味
ある思いが牛と自分との格闘(心の戦い、修道の戦い)はとうとう終わった。
牛を再び捕らえることも放すこともない。
樵子(きこり)の歌う田舎歌を口ずさみ、笛で童歌(わらべうた)を奏でる。
気ままに牛の背にまたがり、目は遠く大空を見ている。
このような人を誰も呼びかえすこともできず、引きととどめることもできないだろう。