88.「精進努力実践躬行」

 

「実践躬行」という言葉は、誦句集の修道大悟の誦句に出てきます。」

 

「堅く、我と我が心に、この欣びと、この幸いとを根強く植えつけて、一意専心、黽勉努力(びんべんどりょく)、実践躬行(じっせんきゅうこう)」です。天風哲学は、実践哲学です。実践躬行していきましょう。

 

 

 

【実践躬行】じっせん-きゅうこう

 

理論や信条などを、自身の力で実際に踏み行うこと。▽「躬」は自ら、自分での意。口だけでなく、実際に踏み行うことの大切さをいう語。「躬行実践きゅうこうじっせん」ともいう。

 

 

 

「修道大悟の誦句」

 

そもさん 吾等かりそめにも天地の因縁に恵まれて、万物の霊長たる人間としてこの大宇宙の中に生れし以上、先づ第一に知らねばならぬことは、人生に絡まり存在する幽玄微妙なる宇宙真理なり。

 

 誠やこの自覚を正しく厳かになし得なば、敢て求めずとてもその身を健やかに、その運命を和やかにするを得ん。これぞ正に千古昭(せんこしょう)として 耽存(じんぞん)する尊厳侵すべからざる人生の鉄則にして、また神(かん)ながらに定められたる動かすべからざるの天理なり。しかも心より喜ばんかな、吾等今や正に雀躍する感激に咽(むせ)びつつこの妙諦とその手段とを知れり。あゝこの幸い この恵み! そも何をもつてかたとえん。

 

 顧みれば、転々として人生の悶えと悩みに 苦しみしこと幾年月!! 今やわれ茲(ここ)に豁然(かつぜん)として無明の迷いより覚め、自覚更生の大道に入るの関門に立ち、心眼既に開けて行手に栄光燎乱たる人生を望み得し今日、吾が心はただひたすらに言い能わざるの 限りなき欣びに勇みたつ。

 

 然(しか)!! 世の人々の、すべてのすべて、よしや富貴栄達名門名誉の人と雖(いえど)も、しょせん味わい得ぬ、この欣びと、この感激!誠!恵まれたる我よ、と思えば、などか、この尊き因縁を、とこしえに忘れ能うべき。

 

されば、堅く、我と我が心に、この欣びと、この幸いとを根強く植えつけて、一意専心、黽勉努力(びんべんどりょく)、実践躬行(じっせんきゅうこう)、ふたたび人生無自覚の過ちを繰り返さざらんがために、厳かに反省の鞭を手にし、ひたむきに向上の一路へと颯爽と邁進し、われらの住むこの世界に、誠と、愛と、平和に活きんとする人の数を多からしむるべく、我まず、その模範の人とならんことを、自から、自からの心に、厳として誓わん。