90.「ともすれば 思わぬかたに 走るかな 心すべきは 心なりける」

 安武貞雄先生の解説がありました。「不必要と思われるほど意味は明瞭な句です。心の統御の大切なことは、かねがね天風先生の説かれるお教えの中心であり、思わぬかたに走りやすいわが心を正しい方向に向け直す実際方法を教えられたわれわれは、この句を見るにつけても、方法の実践を怠ってはならぬと戒められる思いが致します」(志るべNo.139 昭和492月号 より)

 

また、明治天皇のお言葉に「ともすれば 思わぬ方(かた)に移(うつ)るかな 心すべきは 心なりけり」があります。人間の心は「迷い易く、移り易い」ものです。その心の対応方法を天風哲学は教えてくれています。安定打坐をして心を清らかにすることが大切です。

 

 以下は、明治天皇御製読本 京都府立桃山中学校長 田中常憲 著の解説です。

 

 「迷い易く、移り易きは、実に心である。特に自主的精神のまだ確立せぬ、誘惑に陥り易い、群衆心理に駆られ易い、青少年においては尚更(なおさら)で、深く心すべきである。」(明治天皇御製読本 京都府立桃山中学校長 田中常憲 著 より)