「把手共行」(手を把って共に行く) 木曜行修会 山本正徳 2019年5月23日
「稲盛和夫 どう生きるか なぜ生きるか」を活用
・人生を動かす運命という力
人にはそれぞれの運命がある。その運命は、個人だけでなく、世界の運命、地球の運命、日本の運命、東京の運命という地域に備わった運命がある。
・運命を否定しても何の益もない
人類は有史以来、運命というものがあるなら、私はこうなるのだろうかと悩み、研究してきました。
そのために中国では易、つまり八卦見というものができました。
ヨーロッパでは、星占い、占星術という、これもたいへんな学問があります。
⇒どうにかして運命というものを知ろう、未来を知ろうとしてきました。
・運命は科学ではありません。科学的に証明されていませんが、否定してみて何の益があるかと思うのです。
それよりも運命というものを肯定するほうが、はるかに人生を理解しやすいし、間違いなく人生を生きていく術を得ることができると思うのです。
・人生の横軸となる「因果応報の法則」
運命は、人生を貫いていく縦軸。もう一つ、人生の横軸には「因果応報」という法則が存在します。
因果応報の法則とは、よい因、よいことをすればよいことが生じるし、悪いことをすれば悪い結果が生まれる。
この「因」とは、生きている間に自分自身が思ったこと、考えたこと、そして実行したことです。これを「思念」といいます。思念は業(カルマ)をつくる。
我々は「思っただけやないか」というふうに思いますが、そんな軽いものではない。実はその思ったことが原因をつくってしまうのです。恨み、つらみ、いろんなことを考えただけで、もう原因をつくってしまうのです。
・長いスパンでみれば因果はピタリと合う
この因果応報の法則は、必ずしもすぐにそのとおりの結果が出ない。結果が出るまでに時間がかかってしまうということです。
しかし、二十年、三十年というスパンで人生を長くみれば、必ずそのとおりになっています。
・「因果応報の法則」は運命をも変える
よいことを思えばよい結果が出るわけですが、一方には自分自身がもってきた運命というものがあります。
運命を縦軸に、横軸には因果応報の法則があります。この二つの法則で、我々それぞれの人生が決まっているわけですが、実は因果応報の法則のほうが、運命よりも力が少し強いのです。
ですから、もともと運命というものが定まっていますが、その運命通りにならない。因果応報の法則には運命を変える力があります。
・波乱万丈の人生をいかに生きるか
⇒いかなる運命にも「感謝の心」で対応する
実際に災難にあった人が感謝するのは至難の業です。しかし、修行した、しないにかかわらず、「感謝せねばならん」と理性にインプットしていただきたいのです。ほうっておいたら、できやしません。恨みつらみというだけにとどまります。
●これは絶対条件なのです。よいときには、ほうっておいても感謝の念が出てくる。みなさんもそう思うでしょう。ところが、実は出てこないのです。よかったらよかったで、当たり前なんだというふうになってしまう。それどころか、「もっと」というふうになる。まして災難にあったときはなおさら感謝なんかでてくるわけがない。
・人生の目的は心を高めること
波乱万丈の人生の中で魂を磨いていく
人生の目的:心を純化する、心を浄化する。人間性を高める、人格を高める。
・世のため人のために尽くせる美しい心になる
・生まれたときより少しでもきれいな心になる
・お釈迦様の教えを人生に生かす(万般に通じる「六波羅密」の教え)
1)布施:世のために人のために尽くす。これによって、魂を磨く。
2)持戒(戒律を守る):煩悩を抑え、人間として、してはならないことを守る
3)精進:誰にも負けない努力をすること。一生懸命に働くことによって心を磨く。
4)忍辱:耐え忍ぶ。耐え忍ぶ、辛抱することが心を高めていく、人間をつくる。
5)禅定:せめて一日一回、心を鎮め、静かに座禅する。
6)智慧:以上の五つをすると、宇宙の「智慧」に至ることができる。
⇒布施、持戒、精進、忍辱、禅定が心を高めていくもとであり、悟りに近づく道。